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【イベントレポート】「現場が語る欧州林業機械」(第21回富士フォレストサポート講習会_第一部)(2025年9月)

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「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)レポート

【イベントレポート】「現場が語る欧州林業機械」(第21回富士フォレストサポート講習会_第一部)(2025年9月)

2025年9月26日(金)、第21回富士フォレストサポート講習会を開催いたしました。
今回はその様子をレポートします!

富士フォレストサポートとは

富士フォレストサポートとは富士岡山運搬機株式会社が運営する団体です。

2025年度は岡山県、鳥取県、兵庫県、京都府、広島県、愛媛県から90社以上に入会いただいています。

木材関連業者様の生産的かつ持続的な経営を支援するため、年に2回の講習会年3~4回の林業特別教育を実施。

年に2回、会員同士の交流会を開催し、情報交換や事業協力の機会として活用いただいています。

2025年度1回目の講習会の様子をレポートいたします。

「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)の様子

第一部 「現場が語る欧州林業機械」(株式会社柴田産業 柴田智樹専務)

第一部では、岩手県の株式会社柴田産業の柴田智樹専務に「現場が語る欧州林業機械」について、ご講演いただきました。

柴田産業は素材生産からチップ生産、製材、木材加工、運搬まで多岐に渡る事業を展開されています。
文字通り川上から川下まで、「無駄のない資源活用をする木材業」(柴田産業ホームページより)をされていらっしゃるのです。

素材生産ではヨーロッパ製の林業機械を積極的に取り入れ、先進的で効率的な林業を実現されています。

欧州林業機械は日本では使えない、という常識を打ち破った柴田専務に、欧州林業機械との出会いから今までを振り返っていただきました。

1.欧州林業機械との出会い

2007年にKeto-500、2011年にWoody60を導入。
ハーベスタの導入で生産量は大幅に増えました。

そして2012年、ヨーロッパに初訪問し、日本以外の林業を初めて目にされました。

欧州林業機械の走破力、パワー、スピードは圧倒的でした。
「建機にどのハーベスタを付けるか」という発想しかなかった当時の柴田専務は、衝撃を受けたと言います。

「欧州林業機械は日本では大き過ぎて使えない」という先入観は崩れ、「日本でも使えるのでは......?」と感じたそう。
この印象がすべての始まりとなったのです。

「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)_日本でも使えるのでは?

2.導入の苦難

油圧ショベルに林業アタッチメントを取り付けるという従来の形ではない、ホイール式の林業専用機を導入するという発想には慎重な意見も多くありました。
それでも認めてもらい、なんとか導入した「ハイランダー4W(Konrad)」。
当然、日本初上陸でした。

しかし最初は使い物にならなかったと言います。
軽くて壊れにくい、と言われていましたが実際にはすぐに故障が発生。
2時間作業をして4時間修理する、なんていう日もあったと言います。

しかしメーカーと話し合い、改善を求め、その機械も交換対応をしてもらい、今は問題なく使えているとのことです。

ハイランダー4W_「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)_林業機械.com


3.素材生産量アップに向けて

それからも生産性安全性を求めて、あらゆる機械や考え方を導入されています。
今現在取り組まれている方法を教えていただきました。

①ハイランダーで全木集材

ハイランダー4Wの導入で伐採量は格段に増加しました。

アシストウインチクラムバンクを活用し全木集材を実施したことも要因の一つです。

クラムバンクとはホイールやクローラーの間に付いた大きな「つかみ」のことで、ここに木材を抱えることで、玉切り前の木材を引きずって運ぶことができます。

つまり「全木集材」が可能になります。

クラムバンクとは_「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)

全木集材とは、枝払いや玉切りをせずに「一本丸々全て」集材する方法のこと。

全木集材をすることで、林地残材も土場に集積することができる上、枝葉・樹皮・端材も土場に集まるため、利用価値の低い材の利用促進にも繋がります。

柴田産業では、全木集材が可能なハーベスタを導入することで、伐倒・集材・造材という一連の作業を一台で完結させることができるようになりました。

全木集材とは_「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)_林業機械.com


②CTL(Cut To Length)で効率・安全化
この伐倒・集材・造材をその場で行っていくという流れが確立すると、「CTL」と呼ばれる仕組みを取れるようになります。

CTLとは「Cut To Length」の略称で、「短幹集材」と訳されます。

ハーベスタマシン1台で伐倒、造材を行った流れで、その場に短幹を一山ずつ造り置いていきます。
そしてそれを一気にフォワーダで集材・運搬する仕組みです。

伐倒から造材を一連の作業で行ない、まとめて搬出できるため効率化に繋がる、かつ、ハーベスタマシンとフォワーダのキャビン内で作業が完結するため安全性も高まります。

小人数で大規模作業が可能というメリットがあります。

CTL(短幹集材)とは_「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)_林業機械.com

一方で、ハーベスタ、フォワーダなどの初期投資が大きいこと伐採量が少ないと採算が合いにくいことデメリットと言えます。

このCTLを採用するためには「搬出」が肝になります。
生産量は大幅にアップしました。
それに見合う搬出能力が必要になります。

そこで取り入れたのが「ホイール式フォワーダ」でした。

③安全と効率のキーはホイール式フォワーダ

ハーベスタという能力の高い機械と、効率のよい生産システムを取り入れ、伐採量が劇的に増加しました。
すると見えてきたのが「搬出」という壁です。

欧州のフォワーダはホイール式(タイヤ式)でサイズが比較的大きく、キャビンの中でグラップルの操作も可能です。
これは、CTL(Cut To Length)をするあたっては大きなメリットです。

ホイール式フォワーダ_「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)_林業機械.com

ホイール式でもタイヤの前2本と後ろ2本をそれぞれ括り、鉄シュークローラーのようにするオプション品があります。
それは必須とのこと。
その鉄シューオプションで登坂力がアップします。
「ホイールは歩けない」という考えは払拭してほしい、とホイール式フォワーダの使い心地をアピールされました。

積載量が多く、伐採量に見合った集材力があることは然ることながら、乗り降りの必要がないことが最大の利点。

キャビンの中で移動も積込も完了できるので、生産性安全性も向上します。
気持ちや体力的にも良い効果がありそうです。

4.持続的な林業のために

柴田産業は、ジョンディアコンラッド等、あらゆるメーカーのハーベスタマシンやフォワーダを使われています。

他にもタワーヤーダ自走式トラクションウインチも使いこなされており、常識を打ち破った林業をされています。

人手不足、人口減少が叫ばれる中、省人化・効率化はどの業界にとっても課題です。
まずは「ハーベスタ伐倒」「全木集材」「小型ホイール式フォワーダ」の導入がおすすめとのことです。

「現場が語る欧州林業機械」(柴田産業)_林業機械.com

最後に、林業の未来のためには、官民一体化知識と行動が伴う自責思考人材他業種とのコラボ新しい林業経営や経営ノウハウの導入幼少時からの森林林業教育機械オペレーション教育が必要だと投げかけを頂きました。

富士フォレストサポートも、持続可能な林業をお手伝いするために、経営と現場の、明日からのヒントとなるような情報を発信してまいります。

質疑応答では会場からの質問にも丁寧にご回答いただきました。

株式会社柴田産業、柴田専務、貴重なお話をありがとうございました!


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