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木材グラップルの「固定式」と「揺動式」の違い|一度に掴める材積が変わる理由
この記事でわかること
- 木材グラップルには、重機への取り付け方によって「固定式(2点支持)」と「揺動式(1点吊り)」があります。
- 国内メーカーの油圧ショベル用木材グラップルは固定式で、揺動式は海外で多く採用されています。
- 揺動式は重機への負担が小さいため、同じクラスの重機でも大型のグラップルを装着でき、一度に掴める材積が大幅にアップします。
- 固定式は材を揃える・押さえる細かな作業、揺動式は大量の材を効率よく運ぶ荷役作業に向いています。
国産材の活用が進むなか、製材所や土場では「荷受け」「仕分け」「はい積み」といった日々の荷役作業の効率化が求められています。
木材を掴むグラップルには、アームへの取り付け方によって「固定式(2点支持)」と「揺動式(1点吊り)」があります。
国内メーカーの油圧ショベル用木材グラップルでは2点支持の固定式が採用されており、1点吊りの揺動式は海外で多く採用されています。
同じクラスの重機に取り付けても、どちらの方式かによって一度に掴める材積は大きく変わります。
その違いを生んでいるのが、グラップルと木材の重さや、ぶつかったときの力を重機がどう受け止めるかという構造の差です。
日本の主流「2点支持・固定式グラップル」
固定式は、バケットと同じようにアーム先端に2本のピンでグラップルを取り付ける方式です。
グラップルの角度は油圧シリンダーで保たれ、重機の動きがそのままグラップルに伝わります。
そのため、材を綺麗に揃える、上から押さえつける、狙った位置に正確に置くといった細かな作業に向いています。
一方で、この「しっかり固定されている」ことが、グラップルを大きくできない理由にもなります。
固定式(2点支持)の木材グラップル(イワフジ GS-65LJV)
重さを「手首で支える」ような負担がかかる
固定式では、グラップルと掴んだ木材の重さを、角度を保っている油圧シリンダーとアーム先端が支え続けることになります。
重い荷物を手のひらに乗せて、腕を前に伸ばしたまま持っている状態をイメージしてください。
荷物が重く大きくなるほど、手首に大きな負担がかかります。
固定式グラップルでは、この「手首」にあたるアーム先端とシリンダーに負担が集中します。
ぶつかったときに「横にひねられる力」がかかる
長い棒の端を持って、反対の端を壁にぶつけると、手首がぐいっと横にひねられます。
固定式グラップルで長い丸太を掴んでいると、丸太の端が地面や障害物に当たったときに同じことが起こります。
グラップルは重機にしっかり固定されているため、このひねる力が逃げずに、アームや重機本体にそのまま伝わります。
こうした負担があるため、同じ重機に装着できるグラップルを大きくしにくく、一度に掴める材積に限界があります。
海外で多く採用される「1点吊り・揺動式グラップル」
揺動式は、アーム先端からグラップルを吊り下げる方式です。
グラップルは前後左右に揺れることができ、回転装置(ローテーター)で向きを変えられます。
揺動式(1点吊り)の木材グラップル(Cranab CR200)
重さを「ぶら下げて持つ」から負担が小さい
買い物袋は、手のひらに乗せて腕を伸ばして持つより、指に掛けてぶら下げて持つほうがずっと楽です。
揺動式グラップルも同じで、木材は常に吊り下げた位置の真下にぶら下がります。
固定式のように、角度を保つためにシリンダーでグラップルと木材の重さを支える必要がありません。
ぶつかっても揺れて力を逃がす
掴んだ丸太が障害物に当たっても、グラップルが揺れたり回ったりすることで、横にひねる力を逃がしやすくなります。
大型のグラップルを装着できる
このように重機への負担が小さいため、同じクラスの重機でもツメの開きが大きい大型のグラップルを装着できます。
その結果、一度に掴める材積が大幅にアップします。
ただし、吊り下げているぶん荷が揺れやすく、上から押さえつける作業には向きません。
国内メーカーは安全上の観点からこの揺動式を敬遠し、採用していないのが現状です。
固定式と揺動式の比較
| 項目 | 固定式(2点支持) | 揺動式(1点吊り) |
|---|---|---|
| 取り付け方 | アーム先端に2本のピンで固定 | アーム先端から吊り下げ |
| 得意な作業 | 揃える・押さえる・正確に置く | 大量の材をまとめて掴んで運ぶ |
| 重さの支え方 | 手のひらに乗せて腕を伸ばすイメージ | ぶら下げて持つイメージ |
| ぶつかったとき | ひねる力が重機に直接伝わる | 揺れて力を逃がしやすい |
| グラップルの大きさ | 大型化しにくい | 同じ重機でも大型を装着できる |
| 一度に掴める材積 | 限界がある | 大幅にアップ |
| 国内メーカーの油圧ショベル用 | あり | なし |
まとめ
木材グラップルの固定式と揺動式は、どちらが優れているかではなく、得意な作業が異なります。
材を揃えて押さえる細かな作業には固定式、大量の材を効率よく動かす荷役作業には揺動式が向いています。
製材所や土場で荷役作業の効率を上げたい場合は、一度に掴める材積が大きい揺動式グラップルが有力な選択肢になります。
よくある質問
Q. 木材グラップルの固定式と揺動式の違いは何ですか?
A. 重機のアームへの取り付け方が違います。固定式(2点支持)はバケットと同じように2本のピンでアーム先端に固定し、揺動式(1点吊り)はアーム先端から吊り下げて前後左右に揺れる構造です。固定式は材を揃える・押さえるなどの細かな作業、揺動式は大量の材をまとめて運ぶ荷役作業に向いています。
Q. なぜ揺動式グラップルは一度に多くの材積を掴めるのですか?
A. 重機への負担が小さいためです。揺動式は木材を吊り下げて持つため、固定式のようにシリンダーでグラップルと木材の重さを支え続ける必要がありません。また、丸太が障害物に当たっても揺れて力を逃がせます。そのため同じクラスの重機でも大型のグラップルを装着でき、一度に掴める材積が大幅にアップします。
Q. 揺動式グラップルの弱点はありますか?
A. 吊り下げているぶん荷が揺れやすく、上から押さえつける作業には向きません。材を揃える、押さえる、狙った位置に正確に置くといった細かな作業は固定式が得意です。
Q. 国内メーカーの揺動式グラップルはありますか?
A. 国内メーカーの油圧ショベル用木材グラップルでは、2点支持の固定式が採用されています。1点吊りの揺動式は、国内メーカーが安全上の観点から敬遠しており、採用されていないのが現状です。揺動式は海外で多く採用されています。
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